みんなが知らない、経験者のみぞ知るファームライフについてお話しします。
私はストロベリーファームで働きました。もちろん果物の種類によって仕事内容は全く違うと思います。
寝ても覚めてもイチゴのことばかり
イチゴのシーズン(7月~9月中旬ごろまで)は、頭がおかしくなるほど毎日イチゴのことだけ考えます。考えたくなくても、考えざるを得ないんです。ピッキングの人たちは、日の出とともにピッキングを開始し日が沈むと同時に仕事が終わります。パッキングは、朝は9時ごろから仕事を開始し、その日採れたイチゴを詰めれる限り詰めます。夜仕事が終わるのはだいたい21時や22時です。
だからファームで働いているほとんどの人達は毎日12時間労働です。休みはほぼもらえません。毎日ものすごい量のイチゴが取れるので、毎日人手不足なんです。
休みはどうやったらもらえる?
極論、天気次第です。
雨が激しく降ったり台風が来たりするとイチゴが傷み、商品にできなくなります。イチゴの状態が良いとパッキングが少し楽になりやる気が出ますが、イチゴの状態が悪いとほとんどが販売できずゴミになってしまいお金になりません。天気ひとつでイチゴの状態がガラッと変わってしまいます。採れるイチゴも詰める苺も無くなるので、仕事が休みになります。逆に言えば、それ以外はひたすら働きまくります。
なにがキツイかというと、次の休みがまったくわからないことです。普通の仕事であれば次の休みがわかっていて、「よし!次の休みまで頑張ろう!」となるのですが、休みがわからないのでただ働き続けます。もくもくと目の前のイチゴと向き合います。
ただ同じ事を10時間以上する辛さ
パッキング組は一日13時間労働でした。ひたすら同じ場所に立ったままパッキングを続けるんです。ピッキングは、ずっと腰をかがめたままイチゴに向き合います。想像できますか?
昔は接客業をしていたので、ひたすら同じことをする仕事に少し憧れがありました。人と関わる仕事は毎回毎回対応が変わり、うれしいことがあったり、ひどいことを言われたり。何も話さずに仕事をする、毎日同じことをし続ければいいってどんな感じだろうと最初はワクワクしていたのですが、、、。もうイチゴのパッキングは経験しなくてもいいかなと思います。一度はやってみてよかったです。笑
先が見えない草取りの日
パッキングメンバーは基本パッキングだけでしたが、たまにファームみんなで草取りをします。
これがまためちゃくちゃ大変。一列何メートルあるんだろうかという、先が見えないイチゴの列を任され草取りをしていきます。
何列終わるごとにお金がもらえる仕組みですが、本当にすごい量の草取りです。
それに加えスーパーバイザーという人たちが草が残っていないかチェックをします。取り残しがあると、「列の最初に戻れ」と言われます。太陽が照り付ける中の草取り本当に大変です。農家の人たちを大尊敬します。いつもおいしい野菜や果物をありがとうございます。泣
イチゴ好きが、イチゴ嫌いに
仕事を始めた頃はおいしそうなイチゴを見ると食べていました。採れたてで大きくってとっても甘いんです。食べたいときにいつでも新鮮なものを食べれるので、家の前にあるイチゴを採ってはイチゴジャムを作ったり、イチゴシェイクにしたりとみんなでいろんなアイディアを出し合ってイチゴを楽しんでいました。それも最初の一か月ほどだけでした。
2か月目、3か月目になるとイチゴが食べ物に見えなくなってきます。ただの丸くて赤い“物”にしか見えないんです。
毎日料理をつくる
ファームの生活では近くにお店が一つもないため、買い物は週に一度、車を持っている人に一緒に乗せてもらい買い物をしていました。なので一週間分まとめて食材を買い、やりくりして一週間分のごはんを作ります。一人の分を作るのはめんどくさいけど一緒に住んでいる人たちの分も作るのは楽しい。たまにはみんなで集まってご飯をしたりしました!作って食べてもらって、人に喜んでもらうのってめっちゃうれしい!
ファームの時の一番の楽しみ
(写真は私が撮影したものじゃありません!)
私がファームをしてよかったと一番思える時間が、空を見るときでした。
そんなのどこでも見れるじゃんと思う人もいるかもしれませんが、本当に空がすごいんです。ファームがある場所は山奥なので、建物などがほとんどなく明かりがありません。音もありません。火が沈むと同時に真っ暗になります。
空を見上げると見たことのない星の数が見えます。プラネタリウム、何と表現していいかわかりません。本当にすごいんです。息をのむ量です。一眼レフを持っていたらお伝えすることができたと思うんですが、持っていた携帯ではうまくとることができなかったので残念です。今からファームする方、空を楽しみにしていてください!朝日の日の入りも最高です。
そんな大変なファームライフを一緒に乗り越えた時間は、もう人生で2度と経験することないだろうなと思う一方、人生で一度こんなにもイチゴに一生懸命になる時間を経験することができてよかったなと思います。ファームが終わった日、もう小学生が楽しみにしていた遠足の日を待つぐらいうれしくて仕方ありませんでした。ファーム以外の街や景色、目に映るものすべてがきらきらしていたように思えます。
ファームで働いた日々は精神的にも体力的にもとってもきつかったけど、日本や都会では経験できない、本当に素敵な時間を過ごすことができました。
今からファームに行く人たち、少しは覚悟を持っていきましょう。ファームを頑張れば、楽しい2年目が待っています!
コメント